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コントロール回路について

エレクトリックギター、ベースの電気回路

ギターやベースを内蔵する電気回路で大別すると、乾電池を使わないパッシブモデル、乾電池を使うアクティブモデルの2種類になります。
このページではパッシブ回路とそこに使われる部品について説明します。

可変抵抗器

ボリュームやトーンコントロールに使われる回転式の可変抵抗器には、以下のような規格があります。

抵抗値
パッシブモデルのボリュームとしては、ハムバッカーピックアップ付のギターには 500KΩ、シングルコイルピックアップ付ギターやP/Jピックアップ付のベースには 300KΩ か 250KΩ が使われることが多いです。
これ以外の抵抗値でも、ボリュームコントロールとしては機能するのですが、抵抗の小さな可変抵抗器を使うと高域が削られた感じの音になり、逆に抵抗の大きなものを使うと明るめの音色になります。例えばハムバッカーが付いたギターのボリュームに 1MΩ の可変抵抗器を使用した場合、音色は高域がはっきりした、ややギラギラした音色になります。ただ、大きな抵抗値の可変抵抗器を使うとノイズを拾いやすくなるので、注意が必要です。

変化特性
可変抵抗器を回転させたときに抵抗値がどう変わるかを示すものです。
パッシブ回路で音色の変化が人間の耳に自然に感じられるのは、Aカーブです。Aカーブの中にもその変化割合によって 05A や 15A と呼ばれるバリエーションがあります。

サイズ
30年くらい前までは、直径 24mm のものが使われていましたが、現在では直径 16mm のものが多くなっています。
可変抵抗器のメーカーにとっては、プリント基板に実装するタイプが主流であって、ギターで使うような、ナットで固定するタイプは直径 16mm のものでも、かなりマイナーな部類に入ります。
24mm と 16mm の差は感覚的な要素もありますが、今でも24mm の抵抗器を好む人は多いです。

回転トルク
ボリュームやトーンを回す時のトルクは重すぎても軽すぎても使いにくいものですが、可変抵抗器のトルクはシャフトと軸受部分の間に塗ってあるグリスの粘度だけで調整されています。グリスの粘度は温度が高いと低く温度が下がると高くなるので、冬はトルクが重く、夏はトルクが軽くなるのは避けられません。トルクを厳密にコントロールすることはメーカーにとっても難しいようです。

可変抵抗器メーカーによる音の差
可変抵抗器は、基板の上に塗ってある炭素被膜の上を端子が移動することで抵抗値を変えるので、それなりの誤差があります。500KΩ の可変抵抗器と言っても、必ずしも 500KΩ でできているわけではありません。ボリュームを変えたら音が良くなったという話も時々聞きますが、おそらくは抵抗値の誤差がその理由ではないかと思います。同じ 500KΩ と表示されていても、交換前の実際の抵抗値が 480KΩ、交換後の実際の抵抗値が 520KΩ であれば、交換することによって音は明るい方向に変わります。

コンデンサー

容量
パッシブモデルの場合、トーンコントロールと言っても高域を減衰させるだけの回路です。つまり、トーンを右いっぱいに回した状態ではピックアップからの信号がそのまま出力され、トーンコントロールを左に回していくとその分、高域が削られていきます。トーンコントロールで使われている部品は、可変抵抗器とコンデンサーが1個ずつ、極めてシンプルな構成です。
コンデンサーは一般的に容量が 0.022MF(223と表示されています)や 0.047MF(473と表示されています)のものが使われます。ただ、これくらいのコンデンサーだと、トーンコントロールを左に回し切った時に非常に暗い音色になってしまいます。もっと小さい容量のコンデンサー(例えば4700PF)を使うと、左いっぱいに絞っても極端に暗い音色にならないトーンコントロールになります。

種類とメーカーによる音の差
コンデンサーにはセラミック、マイラー、マイカ、オイルなど多くの種類があります。どこそこのメーカーのものに交換したら音が良くなるという話を聞くこともあります。ただ、パッシブ回路のトーンコントロールでは、コンデンサーの中を通った電気信号は、その高域成分がアースに逃げていくだけで、アンプに出力されることはありません。基本的に高域減衰型のトーンコントロールに付いているコンデンサーが音に影響するとしても、その影響はごくわずかだと思います。(音に敏感な人はその違いが無視できないレベルだと感じるのかもしれませんが)
また、音の違いの理由ががコンデンサーの種類、構造によるものなのか、コンデンサーが持つ容量誤差によるものなのか判断が難しいと思います。

線材やハンダの種類と音

コントロール回路に使われる線材を太いものに、あるいは無酸素銅 (OFC) ケーブルに交換することでクリアな音になる傾向であることは実験で確認できます。
ただ、ギターの内部回路に使われる配線の長さからすると、効果はそれほどはっきりしないレベルだと思います。
また、現在使われている無鉛ハンダの代わりに有鉛ハンダを使えば太い感じの音になります。ベース等の内蔵プリアンプでは、この半田の違いによる差は意外と顕著なのですが、法律で規制されていることなので仕方がありません。

ハイパス回路

ギターのパッシブ回路は(トーンコントロールがフルになっていても)ボリュームコントロールを絞って音量を下げるに従って、音色が少し暗くなっていく特性を持っています。ボリュームを絞ってもピックアップ本来の音が出るようにするのがハイパス回路です。(下図の青色部分です)
コントロール回路内に固定抵抗とコンデンサーを1個ずつ追加した簡単なものですが、ボリュームコントロールを絞った時でも、ピックアップ信号の高域成分は、青色部分の回路を通って出力ジャックに流れていくため、音色が暗くなることがありません。

ダイレクトアウト回路

パッシブ回路の場合、ボリュームコントロール、トーンコントロール両方がフルになっていても、ピックアップからの信号は回路中の可変抵抗器やコンデンサーの影響を受けています。下図の青色部分のような切替スイッチを付けて、ピックアップからのリード線を出力ジャックに直接つないでしまう回路をダイレクトアウトとかバイパスなどと呼びます。
この回路では高域が全く減衰せずに出力されるので、かなり音色の違いが出るのですが、ボリュームやトーンコントロールが効かなくなり、また音色もちょっとギラギラした感じになるので、好き嫌いが分かれるところだろうと思います。