Tech Talk
ヘッドストックについて
ヘッドストックの大きさと形状
ヘッドストックは、ボディとバランスが取れたデザインであること、適切な位置に糸巻が取り付けられる形状であることが基本ですが、振動する弦の片側を支えるという重要な役割を果たしているため、ヘッドストックの形状や重さは、音に対しても大きな意味を持っています。
弦をジャラーンと鳴らしてヘッドストックに耳を近づけると、ヘッドストックがどれほど鳴っているかよく分かります。
ギター、ベースがしっかりした中低域と適度なサスティーンを出すために、ヘッドストックは、ある程度の大きさと重さを持っている必要があります。
ヘッドストックの角度
ヘッドストックに角度を付けるか付けないかによって、音色、チューニングの安定度が変わるだけでなく、トラスロッド調整口の形状にも影響があるので、設計の初期段階に方針を決めます。
1.角度付ヘッドストック (Angled Headstock)
製造はやや複雑になりますが、すべての弦が一様な角度で上駒に支えられ、弦の振動がロスなく本体に伝達されます。ヘッド裏面には補強のためにボリュートと呼ばれる凸部を設けているモデルもあります。
ヘッドストックの角度がゆるやかだと軽めの音色になり、角度が急になると振動が本体にしっかり伝わって中低域がしっかり出る傾向にあります。だた、角度が強すぎるとチューニングが不安定になりがちなので、市販品では角度の浅いもので7~8°、角度のきついもので17~18°、一般的には10~14°の範囲にあります。
2.角度なしヘッドストック (Straight Headstock)
1枚の板材でネックからヘッドストックまで作ることができるため、製造は簡単です。上駒から糸巻の間に「弦押さえ」という部品を使って弦を上駒に押さえつけますが、すべての弦が同じ角度にはなりにくく、この角度が浅いと(角度付きヘッドストックと比べると)音が軽い感じになります。「弦押さえ」と弦の間に摩擦もあるので、チューニングの安定度はやや劣る傾向にあります。
トラベルギターの中には小型化のためにヘッドレスの形をとっているものもありますが、Model 1 ではチューニングのしやすさや音質を重視して 14°の角度付ヘッドストックとしています。