Blog

Tech Talk

ボディ材について

主なボディ材とその特徴

ギターやベースのボディには様々な木材が使われ、それぞれが特徴的な外観と音色を持っていますが、ここでは一般的によく使われている代表的な材料をご紹介します。

1.ハードメープル (Hard Maple, Canadian Hard Maple)

産地:カナダ、アメリカ北部
比重:0.7
硬度:6,000 N

カナディアンメープル、ロックメープルと呼ばれることもあります。
硬くて安定しているので、ボルトオン構造のギターのネック材として多用されます。
音質的には中高域がくっきり出るのが特徴で、ボディ材として単体で使われることは比較的少なく、マホガニーなど柔らかめの材とラミネートして使う場合が多いです。

低価格の製品のネックには中国産の類似材(カナディアンメープルより木目が薄く色白で硬度も低め)が使われていることがあります。

2.ソフトメープル (Soft Maple, Bigleaf Maple, Pacific Maple) 

産地:北米
比重:0.5-0.6
硬度:4,000 N

ハードメープルより柔らかく軽めのメープルの総称で、ビッグリーフメープル、パシフィックメープルと呼ばれることもあります。
ハードメープルと比べるとやや赤みを帯びていることが多く、硬度が低めなので、ネックよりもボディのトップ材として使われます。
フィギュアドメープルと呼ばれる美しい杢のあるメープルのうち、バーズアイメープルはハードメープル、カーリーメープル(ストライプドメープル、フィドルバックメープル)やキルティッドメープルはソフトメープルである場合が多いです。

3.アルダー (Alder)

産地:北米
比重:0.5
硬度:3,000 N

ボルトオンギターのボディ材として最もよく使われる木材のひとつ。音のバランスが良く、硬すぎず重すぎず、機械加工がしやすく、形状安定性もあり、コストも比較的リーズナブル、ギターを作る側からすると優等生的な木材です。
ただ、この材特有の「ズイ線」と呼ばれる木目が塗装面に出てることが多く、特に黒など濃い塗装色では、時間経過とともにボディ表面にクラックのような線が浮き出てきます。シースルー色以外のボディには表裏に0.5mm程度の薄板を貼って、これを防いでいるギターメーカーもあります。

4.ホワイトアッシュ (White Ash)

産地:北米
比重:0.7-0.8
硬度:6,000 N

硬くてかなり重い材料ですが、輪郭のはっきりした重心の低い音が出るので、ボルトオンのギターやベースのボディ材として使われます。木目もはっきりしているので、外観もきれいに仕上がります。

ライトアッシュ (Light Ash) という表記がカタログ等にされている場合がありますが、こういう樹種があるわけではありません。ホワイトアッシュのうち、軽めのものをライトアッシュと呼んでいます。ライトアッシュも基本的な音の傾向はホワイトアッシュと同じですが、重量が軽い分、音色も軽めになります。

スワンプアッシュ (Swamp Ash) もこういう名前の材種があるわけではありません。沼地などで生育したアッシュは平均的なアッシュより軽くなる(比重 0.4~0.5) ことが多く、ギターに使いやすいということで、カタログ等でこういう名前が使われています。

5.アメリカンバスウッド (American Basswood)

産地:アメリカ北東部
比重:0.4
硬度:2,000 N

アッシュとは対照的な、かなり柔らかめの木材です。振動の吸収が早いのでサスティーンが短めで、その特性からヘビーロックプレーヤーに好まれることが多いです。

低価格の製品で「バスウッド」と表記されていることがありますが、「アメリカンバスウッド」とは別物で、東南アジア産の生育の早い軟材が使われているものと思われます。

6.アフリカンマホガニー (African Mahogany)

産地:アフリカ
比重:0.5-0.8
硬度:5,000 N

柔らかめの材ですが、それなりの重量があります。また、比重のばらつきが大きく、特に近年は軽いマホガニーの入手が難しくなってるので、楽器としては重いものになりがちです。音色としては中低域が豊かで、ハムバッカーピックアップを載せたセットネックギターのボディに多用されています。高音域を補強するため、メープルと貼り合わせて使うことも多いです。

7.ナトー (Nyatoh, Nato)

産地:東南アジア
比重:0.5-0.8
硬度:5,000 N

外観がマホガニーに似ているため、普及モデルにマホガニーの代わりとして使われることが多い材料です。カタログでナトー製のボディをマホガニー製と表記しているメーカーもありますが、正しい表示とは言えません。一般の人がマホガニーとナトーを見分けるのは難しいです。

Rooftop Model 1, Model 2 では、音色、形状安定性、重量を考慮して、センターボディにメープル/マホガニーを5プライでラミネートしたもの、サイドボディにアルダーとマホガニーを3プライにラミネートしたものを使用しています。