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ネックの安定化と補強

ネックの反りはトラスロッドで調整もできるのですが、環境が変化しても変形しにくいネックを作ることができれば、それに越したことはありません。ネックを厚くすれば強度は(厚さ比の2乗で)増し、中低域の音像もしっかりしたものになりますが、演奏性に直結する部分だけに、あまり変更の余地はありません。

1.ネック材の乾燥条件

ネックに限らず、すべての基本となるのは、素材となる木材が正しい方法で乾燥されていることです。適切に乾燥されたネックでは、反り、曲がりだけでなく、フレット端の飛び出しや指板割れ等の問題が起こりにくくなります。

2.木目の方向

柾目材でネックを作ると、板目材のネックより反り方向の安定度が増します。
ただ、柾目材は板目材ほど多く取れないので、量産品で柾目を指定することは難しいです。
通常、ネックには指板が接着されているため、曲がり方向の安定性に問題が出ることは少ないです。

3.材料の積層

ネックを3プライまたは5プライの積層材で作ることによって、各素材の変形が相殺でき、木材が柾目方向で使われることにもなるため、ネックの剛性、安定性は格段に向上します。
異材を組み合わせて積層する場合、トラスロッドが入る部分には硬木を持ってくることが望ましいです。

4.補強材の埋め込み

特に薄い断面のネックでは、CFRP(カーボン)などで作った補強棒をネック内部に埋め込む方法も有効です。
ただ、この方法ではギターの音が硬い方向へ変わってしまうのと合わせて、反りが発生した場合、トラスロッドの効きが悪くなるデメリットがあります。