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ボディ構造について

ボディ構造の名称がはっきりと定まっているわけではありませんが、大別すると以下の5種類になります。これ以外の呼称が使われることもありますし、2つの構造を混ぜたようなモデルも存在します。

1.ソリッド・ボディ (Solid Body)

市販されているEGの90%はソリッドボディ構造です。EGらしい音が出せ、構造が単純で製造が簡単なため、低コストで生産できます。
その一方、ボディの形状、面積、材質、塗装で音色が変化し、組み合わせるネックも含め、良い音の出るソリッドボディの設計は意外と奥が深いです。

2.チャンバード・ボディ (Chambered Body)

定義がはっきり定まっているわけではありませんが、セミソリッド/セミホロウと区別するため、主に軽量化を目的として、ボディに中空の小部屋を多めに設けたものを、"chambered" と呼ぶことがあります。
できるだけソリッドボディの音色を維持しようと空洞部分の位置、形状を工夫するのですが、軽さが実感できる程度まで空洞部を増やしていくと、ソリッドボディとは少し異なった、やや芯がぼやけた感じの音色になることは避けられません。

3.セミソリッド/セミホロウ・ボディ (Semi-solid/semi-hollow Body)

ボディの一部を中空にしたボディで、軽量化もさることながら、音に空気感を持たせることを狙って作るものです。くりぬく部分の形状、面積、深さはボディ材質、ブリッジの種類、狙う音色を考慮しながら(ほぼ勘と経験で)決めていきます。fホールを付けると音抜けが良くなります。

4.セミアコースティック・ボディ (Semi-acoustic Body)

表板、裏板、側板(=通常は成形合板)を貼り合わせて作る箱状のボディ構造です。
図のようにボディ中央部にセンターブロックを入れて、音が甘くなり過ぎないようにすることが多いですが、Gibson Casino のようにセンターブロックを無くして生鳴りを大きくしたモデルもあります。表・裏・側板、センターブロック、ネックの材質によって、音色、音の伝達性、楽器の重さは大きく変化します。

5.ホロウ・ボディ (Hollow Body/Jazz Box/Electric Acoustic)

表板、裏板、側板を貼り合わせて作る箱状のボディで、最もアコースティックギターに近い構造と言えます。
センターブロックを入れないことが多いですが、音の輪郭をはっきりさせるために、ブリッジの下方に小さいセンターブロックを入れる場合もあります。
表板は湾曲させ、裏側にX状の力木 (X-bracing) や梯子型の力木 (Lddder Bracing) を接着して補強します。
高級モデルでは、表板を成形合板ではなく、プレス加工した単板を使うことも多いです。稀にムク板からアーチを削り出して作った表板を使ったモデルを見かけますが、木繊維が途切れてしまうので、音質上の優位性はありません。

セミアコースティック構造では、センターブロックが小さいほど、また、ホロウボディ構造では、ボディのサイズが大きく、厚いほど、力木の剛性が低いほど、空気感の強い、アコースティックギター的な音色になります。

セミアコースティックやホロウボディの側板はヒーターを内蔵したアルミ製の金型で成型します。
ギター用成形金型は、国内では磯部鉄工所が製作しています。量産用の側板(その形状から "3の字" と呼ばれます)は、内型にヒーターの入ったアルミ製の金型で合板成形して作られます。外型は通常、3分割で、油圧シリンダーでプレスします。新規に成形金型を製作した場合は、"プレスケール" という感圧フィルムを使って圧力が均一にかかっているかを検証します。