Blog

Tech Talk

弦について

弦の構成

EG高音弦は単線 (Plain String)、EG低音弦とEB弦は巻線構造 (Wound String) になっています。太い低音弦を巻線構造にするのは、単線で作ると硬すぎて弾きにくくなり、糸巻によるチューニングも難しくなるためです。

EG、EB用の弦は、電磁型ピックアップで音が拾えるよう、磁性体で作られています。芯線は通常、スズメッキを施したピアノ線、巻線はニッケル線、ステンレス線などで作られています。

下図のように、巻線が二重以上になっている弦では、巻線の巻き方向が逆方向になっていること多いです。これは巻線時に巻線間の密着度を高めることができるためです。巻線弦の芯線が6角形断面になっている弦もありますが、これも同じ理由によるものです。

弦の線材の種類によって音色は変わりますが、巻線がしっかり巻かれていること、巻線の密度が一定で巻かれていることが重要です。巻線がしっかりと巻きつけられていないと、、音像感のぼやけた音になります。また、弦の線密度(単位長さあたりの重さ)が一定でないと、音程が不安定になります。

D'Addario弦を例にすると、芯線と巻線は以下のような径になっています。(実測値)

弦のイントネーション

硬いピアノ線で作られている弦は、それなりの剛性があり、上駒、ブリッジサドルの近傍では弦は振動しにくくなります。特に弦のコジ角 (String Breaking Angle) が大きくなる形式のブリッジでは、この傾向が顕著です。そのため、弦が自由振動できる長さは実際の弦長よりやや短くなります。
更に演奏時、弦をフレットに押さえると、チョーキングと同じ状態になるため、フレットの位置から計算される音程より高めになります。
そのため、EG、EBのブリッジサドル位置を調整して、各フレットの音程ができるだけ正確となるよう修正します。実際には芯線が太い弦ほど弦長が長くなるよう、ブリッジサドル位置を後方に調整します。
イントネーション調整後の実弦長と公称弦長と差はおおよそ下表のようになります。(この値は弦のゲージや種類によって異なります)

弦長(スケール)が極端に短いギターでは、イントネーション調整を行っても各フレットでの音程が不正確となる傾向があり、チューニングが合わせにくい印象となります。

弦のコジ角が大きくなると、本来なら音の輪郭がはっきりする傾向にあるのですが、太い弦ではブリッジサドルを超えたあたり(図の赤矢印部分)で弦が盛り上がるようになることがあります。こうなると、この部分の弦が振動しにくくなり、音色が上ずった感じになります。また、イントネーションも合いにくくなります。
このような弦の盛り上がりは、その箇所を指で下方に押すことで簡単に修正でき、音質とイントネーションを正常な状態にすることができます。

テーパード弦は (Tapered String) は、ボールエンド近辺の巻線を減らして弦径を小さし、ブリッジサドル上の弦振動が比較的自然な形となるようにした弦です。