Off Hours
小型スピーカーキャビネットの製作
スピーカーというのは、小さければ小さいなりの音しか出ないのが当たり前、と思ってきたのだけど、QWT (Quater Wave Tube=1/4波長共鳴管)の原理を使ったりすると、小型でも低域からバランスよく鳴るらしい・・ これは作って確かめてみるしかない。
しばらく前の音楽之友社のキットをお手本に、こんなキャビネットを作ってみようと思います。
使用するスピーカーは、ネットオークションで手に入れた パイオニア製 6cm フルレンジ。これも音楽之友社のキットで使われていたものですが、2個1,000円で入手できました。
高いものがおいしいのは当たり前、安くて音が良いを目指します。
キャビネット前面、バッフル板のスピーカー取付部を加工するためにテンプレートを作ります。
小型ルーターとテンプレートでバッフル板の加工です。
加工が終わったバッフル板。キャビネットは板材の組み合わせなので、加工らしい加工はここまで。
キャビネットの組み立て開始。
箱作りは割と単純ではありますが、垂直をしっかり出さないといけないところが、ギターと大きく異なりますね。
キャビネット外箱には比重が高めのホワイトオーク(20mm厚)、内部の仕切り材には9mm厚の合板を使ってみた。加工してみてわかったことですが、ホワイトオークは割と粘りがなく、サクサク削れる。スピーカーキャビネットには、もう少し樹脂分が多めの材料の方が向いているのかな、ギター用とスピーカー用では、材の適性が異なるのか・・・どうなんでしょう。
キャビネット前面にバッフル板を接着。
箱ができ上ってからルーターで木口面を削って平らにしようと思うので、バッフル板も削り代の分だけ(各辺1mmずつくらい)大きめにしてあります。
箱を完全に接着してしまう前に、仮組立状態で簡単なサウンドチェック。
ほ~、6cmスピーカーと A4サイズの箱の組み合わせとは思えない音が出ているような・・
思い込みかもしれないが、Mark Knopfler のギターソロがなかなか艶っぽく聞こえますよ~
このタイプのエンクロージャーは、内側の吸音材次第で音がずいぶん変わるようなので、色々と実験してみることに。
吸音材の実験です。
A:重心が低い感じはあるものの、やや詰まった音
B:音の抜けは改善、ただ高域が少しきつい・・
C:逆に高域が曇ったような・・
D:もう少しだけ高域が伸びてもいいかな
結局、この配置が一番バランスが良いような。
ところで、吸音材は化学繊維より天然ウールのものの方が音がいい、という説があります。
今回はその天然モノを使ってみたんですが、こういうどこまで信じていいか分からないような話がたくさんあるところは、ギター業界と同じ。
側板を接着して箱を閉じます。
内部の仕切板とも隙が出ないように、遠慮なくギリギリ締めます。
キャビネットの木口面をルーターで仕上げ、前面コーナーをR加工して(=写真は撮り忘れました)、最後にオイルフィニッシュです。
この焼印も押しておきました。
できました。
特にシングルコイルのギターなど、なかなか艶っぽく、透明感もあってかなり良い。E.ベースの音も結構、音程感が出ていて悪くない。
こうして作ってみると、スピーカーの世界も楽器の製作と似たところがあるのが分かります。
楽しい1週間でした。
その後、超3結の真空管ステレオアンプを作りまして、このスピーカーをつないでいるんですが、「えっ!?」と驚くほどベースのラインはくっきり聞こえるし、中高域はすっきりしつつも艶っぽく、とても6cmのスピーカー、A4サイズのエンクロージャーとは思えない鳴り方をするようになりました。
自分で勝手に、アンプを変えるまでこの辺りがこのサイズのスピーカーの限界だろうと思っていたところを、いとも簡単に乗り越えてしまいました。
私はオーディオマニアではありませんが、この世界の奥深さ、面白さがよく分かりました。